メーカーの対応方法
RoHS指令で困る点
RoHS指令への対応で困るのは一般的には次のポイントです。
(1)RoHS指令の認識がない企業への資料集め
(2)対応策が一般化されていない設計変更
(3)RoHS指令の現状把握
それではこの点について、具体的に考えてみましょう。
発令されて現在では大分少なくなりましたが、RoHS指令を
聞いた事がない取引先というのはまだあります。
その取引先とは指令の詳細の説明から対応方法、
そして今後の活動方法まですべて細かく指導していかなければいけません。
さらには、小規模で活動されている企業に特に多い為、
資料を集めてもらうだけでも大変な努力が必要になります。
人材面、資金面でも活動への投資が厳しい為です。
次に特殊系の材料を使用する部材についての設計変更です。
対応策が一般化されている黄銅などは問題ないのでしょうが、
まだ対応策ができていない金属は多くあります。
最後に、実感されている方も多いと思いますが、RoHS指令の現状把握を行う事が非常に困難です。海外の規制であり、翻訳の解釈でも内容が変わる為です。
RoHS指令の対応:メーカーについて
RoHS指令に対応する方法として次の2点を選択している企業が多いと感じます。?自社独自の対応方法をとっている企業、?大企業の流れに沿う企業
今回、自社独自における対応方法を取る場合には、どのような手段で行うかを1例として説明致します。RoHS指令に対応する為にメーカーとしてやらなければいけない事は何か?それは「自己宣言にて提供する製品の保証をする事」です。そのためには、やらなければいけない事があります。
ある企業では、次のような4つの構築作業を行っています。
(1)部材の保証を行う為の運用基準を構築
・運用基準書を作成
・外注先指導
(2)書類の収集とリストの構築
・取引先との契約書
・部品単位の保証書
・エビデンスの確保
(3)RoHS指令対応の設計変更方法の構築
・設計変更にRoHS指令対応を組み込む
・部品のトレーサビリティを確立
(4)データベースを構築
・RoHS指令に対応した取引先管理データ
・変更した部材の管理データ
全てを取り組もうとすれば、かなり大変だと思います。しかし、最終的に証明できる書類を持ち、保証できる体制をとればよい、と考えて活動すれば、少し楽になります。ただ、製造販売を行っている企業であれば、このような管理体制を構築していく必要が出てくる思います。
それは、製造販売する企業が責任を問われる立場にあるからです。
とくに困難なのが、(2)の書類の取り交しです。それは、取引先によってはRoHS指令自体を知らない企業も出てくることでしょう。その際に、まず1から説明し、書類を用意してもらい管理体制をしいてもらう必要がでてくるからです。
そして、このRoHS指令対応の作業は、現在では製品に付加価値を与える活動ではなく、手間が増える活動であることがネックになります。取引を継続する為に行う企業が多いのが特徴の活動です。
そのため、製造メーカーでは「EU圏への出荷を検討する」動きが少なからず出ているはずです。 しかし、ほとんど全ての企業が対応への道をとっているのも現状だと思います。